外国人の採用に日本語能力をどうチェックするか
作成日:2019年11月29日 更新日:2021年3月10日
株式会社しごとウェブ 佐藤 哲津斗
外国人を採用にするにあたり、日本語でのコミュニケーション能力は採用の判断基準に一つになります。その際にどれだけマスターしているのかをはかるために必要なものとして「日本語能力試験(JLPT)」をはじめとした能力判定テストがあります。これらの試験は採用面接をする際の評価基準として広く知られているもので、多くの外国人の方が受験しています。
日本語能力の有無や現在のレベルを試験の結果から判断することができるものの、これらの試験では会話のレベルを図れるものできませんので、外国人が実際の仕事の現場でコミュニケーションに問題が生じることが現実的にあります。
ここでは、外国人を採用する際に、どのようにチェックすればよいのかについてまとめてみました。
目次[非表示]
外国人の採用に必要なコミュニケーション能力
そもそも外国人を採用する際に日本語は本当に必要になるのでしょうか?英語のような世界共通言語を利用すればしゃべれなくても採用した人材とコミュニケーションを取ることはできるのではないか?そのような意見もあるかもしれません。
ですが、実際のところ日本企業で働く外国人労働者は日本語をある程度理解できるレベルには習得しておいた方がよいと思われます。その理由をいくつかピックアップしてみます。
言葉の壁によって社内コミュニケーションが取れない
日本で働く期間が短い外国人や日本語を覚える気が最初からないような場合を除いて、社内で働く同僚とのコミュニケーションは重要です。少なくとも英語でコミュニケーションを取ることができれば意思疎通はできるかもしれませんが、日本人の中にも英語が苦手な人が多く、細かいニュアンスの違いなどを相互に伝えきれないこともあるため、日本語での意思疎通ができれば解消することもできるかもしれません。そのために理解できる外国人の人材のほうがよいケースが往々にしてあります。
クライアントや外注管理などを任せることができない
環境にもよりますが、社外の人間と接する機会が多い場合などで日本語がよくわからなければ、相応の対応ができないということになります。外部の人でも英語などコミュニケーションできる言語を理解できれば支障がないかもしれませんが、そのようなケースはこれまで外国人の採用を行った経験がある企業や、グローバルビジネスにすでに取り組んでいる企業でなければ機会すらなかったことかもしれません。
ですから、採用しようとする外国人の日本語能力が日常会話レベル以上でないと日本企業で働くことがつらくなってしまう可能性もあり得ます。
外国人に必要となる能力での目安
外国人の日本語能力を図る試験として代表的なものを以下にまとめました。これらの試験を受けることにより企業側が客観的に判断することができるものとなります。
・日本語能力試験(JLPT)
https://www.jlpt.jp/
・BJTビジネス日本語能力テスト
https://www.kanken.or.jp/bjt/
・標準ビジネス日本語テスト
https://www.ajlea.net/
・J-cert生活・職能日本語検定
https://www.j-cert.org/
・ビジネス実用日本語検定「ビジネスJ. TEST」
http://j-test.jp/newjtest/%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%EF%BD%8A%EF%BC%8E%EF%BD%94%EF%BD%85%EF%BD%93%EF%BD%94
・実用日本語運用能力試験
https://www.topj-test.org/
・JPT日本語能力試験
http://exam.ybmnet.co.kr/jpt/japan/japan01_1.asp
・実践日本語コミュニケーション検定
https://www.sikaku.gr.jp/c/pjc/
・JLPT日本語能力試験
https://www.jlpt.jp/
この中でも日本語能力試験(JLPT)は受験者が最も多く有名な試験です。日本だけでなく海外で受験することもできるので(実施都市については https://www.jlpt.jp/application/overseas_list.html を参照)、外国人労働者が訪日せずとも就労する前に受験しておくことができます。年に2回試験実施がありますが、海外受験の場合には地域によって1回の場合もあります。
試験のメリットとして、日本の出入国管理上の優遇措置を受けられるポイントをもらえます。日本能力試験(JLPT)のN1合格者は15ポイント、N2合格者で10ポイントが付与されます。この優遇処置は70ポイント以上で受けられるものなので非常に大きなポイントを稼ぐことができます。
その他、外国人が特定の資格試験を受けるための条件としても必要となります。
日本語能力試験のN1が受験資格となっている国家試験
医師、歯科医師、看護師、薬剤師、保健師、助産師、診療放射線技師、歯科衛生士、歯科技工士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救命救急士、言語聴覚士、獣医師
会話力までは判断できない
日本語能力試験では主に、文字や語彙、文法への理解、さらには読解力、ヒアリング能力を測るものがあります。また試験自体が大規模であることからマークシートによる採点形式となっています。このような試験形態のため、外国人の会話力や書く能力について試験結果から判断することができません。
読解力やヒアリング能力が高くても、会話ができない、メールすら書くことができないといった業務に支障をもたらすというようなことがないよう、試験の結果だけで外国人についての日本語能力の有無をすることは避けましょう。試験の評価が芳しくなくても日本語を流暢に話すことができる人もいます。自社の求める業務内容に適した日本語能力を保有しているかどうかが重要です。
会話力を判断するには?
会話力を判断するには、直接話をしてみるしかありません。日本にすでに在留している外国人であれば面接を通じて会話をしてみることで日本語力を判断することができます。採用決定後に訪日するという場合には電話やテレビ会議によって会話をしてみましょう。
書く能力を判断するには?
外国人の書く能力を判断する方法ですが、レジメに書かれている職務経歴書の内容などでまずは判断するのがよいでしょう。ただしこの場合、別の人間に書いてもらったり、日本人にチェックしてもらったりするケースも考えられるので、外国人の面接時などに課題を与えて何か文章を書いてもらうのが確実です。
仕事の能力はイコールではない
外国人の採用にあたって注意すべきこととして「日本が流暢に喋れるからといって仕事ができるというわけではない」ということは肝に銘じておかなければなりません。あまり慣れていないといった場合、すらすら喋れる人なら仕事ができるイメージを持ってしまいがちです。
もしあなたの会社で必要な人材が外国人のITエンジニアという場合には、日本語が流暢であることよりも、こちらが言っていることが理解できるレベルの能力と業務に必要な専門的スキルがあれば問題ありません。
日本語能力が低い=仕事ができないというイメージを取り払って外国人エンジニアの採用の可否を判断する必要があります。
まとめ
外国人の採用において相応の日本語能力があるにこしたことはありません。しかしそのことに目を奪われすぎると、スキルの高い優秀な人材を手放してしまうことになってしまいがちです。日本語能力は専門的スキルと合わせて必要なスキルの一つと言えますが、企業側が外国人を採用する際にどこまで求める職種なのかどうかを今一度考えてみてはいかがでしょうか?高めることは採用後でも十分可能です。
またある程度の専門的スキルをもった外国人を採用しようと思ったら、専門の人材紹介サービスの利用がとても便利です。自社で採用活動を行う手間と時間を大幅に短縮することができますので、検討する場合には一度相談してみることをオススメします!
【相談無料】お気軽にお問い合わせください。優良な外国人労働者をご紹介します。